2月の茶席(夜咄)■ □■ブルーグレー色無地に「春眠暁を覚えず」帯■□■1年のうちで、寒さが最も厳しい2月。一陽来復、暖かい春を待ちわびる心か、2月にもたくさんの行事や風習が残っています。節分や初午、立春、観梅…。 お茶の世界では、春を待つと言うより、ぬるきを嫌う精神からでしょうか、厳寒のこの時期、「夜咄(よばなし)」といって、夜に楽しむお茶事があります。昔通り、電気などつけず、灯火のみで行われるお茶会です。ほの暗いので、濃地より、薄色が映えるお席となります。ぬくい用心はもちろんですが、ビジュアル的にも暖かさ演出を考えて装います。 今回は夜咄を意識した組み合わせです。ブルーグレー色無地結城に「春眠暁を覚えず」と織り出されたアイボリー地色の名古屋帯を合わせました。実は、帯はカーテン地の作り帯。胴と太鼓の部分が別々になっています。一足お先に春の気分を取り入れたのと、「楽しいお席で、時のたつのを忘れます」という気持ちを表現しました。 ただ気を付ける点は、「紬の着物」。暖かさを考えて、ここではほっこりした質感のある結城を合わせましたが、本来茶席に紬の着物は着用しません。渋さが侘び・寂びに通じそうですが、紬は元々屑繭で織った普段着だったので、お茶席には向かないと言われるようです。ですが「着物を着る場がほとんどない」という現代の着物事情からか、「後染めなら良い(紬は先染めが多い)」とか「くだけた縞や格子でなければ良い」と書いてる本も多いです。紬が人気のある今日この頃なので、確かに訪問着など、凝った紬の着物も多いですしね。 流儀や先生によっても考え方にずいぶん違いがあるようです。月釜でよくご一緒いただく先生の中には、いつでもほとんど大島を着てらっしゃる方もみえます。私がお稽古に通う先生は「う~ん、柔らか物の着物がないなら絶対とは言わないけど、できればやめて」と仰います。お茶は調和を重んじます。悪目立ちしてもつまらないので、紬がOKかどうか、まずご自分の先生に相談してみて下さいね。 ジャンル別一覧
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